「モスキーノ」2019-20年秋冬ミラノ ジェレミー・スコットによる痛快パロディ

ジェレミー・スコットによる「モスキーノ(MOSCHINO)」のファーストシーズンは、期待通りの痛快なパロディ・コレクションで喝采を浴びた。

ケイティ・ペリーの登場を待って1時間遅れでスタートしたショーは、赤とイエローのノーカラージャケットのスーツとチェーンバッグからスタート。「マクドナルド」のパロディであることは、誰の目にも明らかだ。「マクドナルド」の中でも特に、ジェレミーはポテトフライが好きなのか、ポテトの要素はコレクション中にちりばめられ、スウェットの胸元の「M」の文字の下には丁寧に「世界中で200億食以上売られているよ」という解説まで入っている。

アメリカ出身のジェレミーは、アメリカのポップカルチャーやジャンクフードの世界を、「モスキーノ」の世界の中へ次々と放り込む。Run-DMCの「ウォーク・ディス・ウェイ」が流れるタイミングでは、黒とゴールドでギラギラにドレスアップしたラッパーのようなシリーズを展開。中指を立てて観客を挑発するモデルはキャップを目深にかぶり、キルティングのジャケットからアンダーウエアをのぞかせて、極太のゴールドのチェーンをジャラジャラさせて歩く。また、フランコ・モスキーノが得意とした言葉遊びも健在で、ミンクのファーの背中にははっきりと「REAL FUR」と描かれシニカルだ。

後半のドレスのシリーズは、ジャンクフードのパッケージを大胆にアレンジした。「バドワイザー」のミニドレスにカラフルなグミやミルクチョコレートのマキシ丈ドレスなど。いずれも、パッケージの成分やカロリー表示までしっかりとコピーされていて笑いを誘う。

ともすれば “チープ”や”失笑”に転びかねない、わかりやすいパロディを紙一重で喝采に変えることができたのは、ジェレミー・スコットのアイデンティティが「モスキーノ」のそれと非常に近く、好相性だからだろう。踊りながら歩く個性的なモデルたちも、それを見る観客も皆笑顔。そこには”ファッションって楽しい!”という、ハッピーな空気が満ちていた。なお、モデルには水原希子も登場した。

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