「コーシェ」デザイナーと「ファセッタズム」落合が対談、東京&パリでのクリエーションを語る

「ファセッタズム」の落合宏理デザイナーと、「コーシェ」のクリステル・コーシェ=デザイナーのトークイベントが17日、代官山のカラート71で開催された(主催:カラートプロジェクト)。2019年春夏メンズコレクションから発表の場をパリに移した落合と、19日に東京で17年春夏コレクションを発表するコーシェが、二つの都市に対する印象などを語った。

コーシェは日本の印象について、「日本のファッションは独特。川久保玲、山本耀司、三宅一生、渡辺淳弥など素晴らしいデザイナーが多く、スピリットもカットやパターンも独特ですごく自由を感じる。食べ物や陶器、着物など文化もすごく洗練されている」とコメント。落合デザイナーから、「川久保玲さん以降の日本ブランドについての意識はあったか?」と聞かれると、「『アンダーカバー』や『サカイ』などは有名だし、『ファセッタズム』ももちろん知っていた。フランス人は日本のファッションがすごく好きだし、リスペクトしていて、よく理解していると思う」と答えた。

逆にコーシェが「東京が持つパワーや可能性をどう捉えているか?」と尋ねると落合は、「独特の進化を遂げているが、世界への繋がり方を理解していないのが現状だと思う。クリエーターから見た面白さはあるが、ビジネスにどう繋げるかが見えていない」と答えた。

パリについてはコーシェが「フランス人でありフランスに住んでいる私にとって、パリでコレクションを発表するのは自然なこと」とコメントする一方、落合は「パリという王道の場所でやることが、自分のブランドが一番光ると分かった。コーシェとの出会いの場にもなったLVMH ヤング ファッション デザイナープライズに出るまで、世界のデザイナーに対してコンプレックスを持っていたが、実際にプライズに出てみて日本のデザイナーが壁を作りすぎているだけだと気づいた。ブランドとしてはパリが一番合うと考えているので、今後東京で発表することはあまり考えていない」と話した。

コーシェは「シャネル」のカメリアなどの制作を手掛ける「ルマリエ」のアーティスティック・ディレクターも兼任する。「7年前、カール・ラガーフェルドのアシスタントからルマリエのオファーをもらった。繊細なテクニックが要求されるオートクチュールの仕事は自分にとってチャレンジングだったが、同時にフランスの伝統的なメゾンにコンテンポラリーアートなどの新しい要素を取り入れたいと思った」。

一方、14年に立ち上げた自身のブランドは、パリの地下街やアーケード街でコレクションを発表するなどストリートの要素を打ち出している。コーシェは「伝統的なクチュールにストリートの要素をミックスして新しいものを創り出すのが自分のミッションだと思っている。モデルも様々な人種や職業の人をキャスティングする。ファッションは民主的であるべきというのが自分の考え方なので、会場として誰もがショーを見られるストリートをあえて選んでいる。路上でのショーは許可を取るのが難しいが、それだけの価値がある。ファッションがリアルに感じられることが一番大事」と話した。

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